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アイシン、R&D費の売上高比率を引き上げる=社長

5月22日13時25分配信 ロイター


 [刈谷(愛知県) 22日 ロイター] アイシン精機 <7259> の山内康仁社長は22日、08年3月期に1130億円を見込んでいる研究開発(R&D)費を今後、さらに引き上げていくとの考えを示した。ロイターとのインタビューで語った。アイシングループ内で変速機やブレーキ、カーナビなど複数種類の部品を製造しているグループの強みを活かして、他社との差別化を進める考え。
 売上高に対するR&D費の比率は、同じくトヨタ自動車 <7203> グループのデンソー <6902> が07年3月期に7.8%、08年3月期に8.0%を見込むのに比べると、アイシンの07年3月期実績は4.4%、08年3月期見込みは4.5%とまだ少ない。山内社長は、足元で1000億円レベルのR&D費について、売上高比率を「もっと上げる必要がある」と述べた。
 アイシンの07年3月期営業利益は、前期比11.0%増の1310億円、08年3月期も同3.0%増の1350億円を見込むなど、増益基調は続いている。ただ、山内社長は「自動車がたまたま好調だから(アイシンの業績もいい)。足りないものはまだある。研究開発力が勝負になる」とした。主力のAT事業では、これまで高級車向けに構造が複雑な6速ATで先行してきたが、足元では他社も同様の機種を開発し猛追している。山内社長は「レクサスでは8速ATを積んだ。もう8速の時代」と述べ、技術的な優位を今後も維持していきたい考えを強調した。

 将来技術の中核を担うのが、システム商品。アイシン・エィ・ダブリュ(愛知県安城市)の自動変速機(AT)やカーナビ、アドヴィックス(愛知県刈谷市)のブレーキシステムなどを連携させて売り込みを図る。カーナビでカーブを事前に予測して、変速機やブレーキを適切に制御するシステムなどの開発を進める。山内社長は「グループの力を合わせれば相当おもしろいことができる。積極的に世の中に出していきたい」と述べた。
 一方、アイシンは、変速機のケースなどにアルミを年間約20万トン使用しており、07年3月期はアルミ価格の高騰が利益圧迫要因となった。山内社長は、08年3月期からトヨタ向け製品の価格転嫁は進むとしたが、他社向けでは価格転嫁が困難と説明。歩留まりの向上などを通じて原価低減を進める考えを示した。
 設備投資は「落ち着いてきた」(山内社長)との認識で、当面は現状の2000億円程度で変動しない見通しを示した。これまでトヨタの海外展開の拡大にあわせた積極投資が利益を圧迫してきたが、07年3月期以降、急激に利益率が改善してきている。
 山内社長は、現地でものづくりの基本的な考え方の共有や技能の訓練、生産設備の整備を徐々に進めてきたと説明し「これまでグローバル化が完成していなかった。今まで(の利益)が低すぎた」と述べた。とりわけ、海外では生産設備を正常に保つ業者が不足するなど保全体制が十分ではなく、複雑な設備の修繕に時間がかかり生産性が低かったとして、設備をシンプル・スリム化して維持・管理を容易にしたと説明。さらに生産性向上につなげていくとした。
 海外新工場の建設や能力の増強については、新興国を中心に需要の伸びが見込める市場では今後も検討していく考えを示した。ロシアについては「今すぐ進出する計画はないが、(需要は)間違いなく増えてくるだろう。そのときは考える」と述べた。



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