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武富士元会長長男追徴 1330億円課税取り消し 贈与時の海外居住認定

5月24日8時2分配信 産経新聞


 消費者金融大手「武富士」の故武井保雄元会長と妻が、平成11年に長男の俊樹氏(41)に贈与した外国法人の株に対する約1330億円の追徴課税処分をめぐり、俊樹氏が処分取り消しを求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。鶴岡稔彦裁判長(定塚誠裁判官代読)は俊樹氏の請求を認め、国に課税処分の取り消しを命じた。個人に対する追徴課税の取り消し額としては、過去最高となった。

 俊樹氏の代理人によると、俊樹氏はすでに納税しており、課税取り消しに伴う還付加算金(利息)は約130億円に上るという。

 俊樹氏が贈与を受けた当時の税法では、国内に住所がない場合は国外財産の贈与には課税されないと規定されていた。

 当時、俊樹氏の住所は香港にあったが、国は「贈与税回避目的で外形的に香港にいただけで、生活実態の伴う住所は国内にあった」と主張。俊樹氏の事実上の「住所」が国内にあったかが争点だった。

 鶴岡裁判長は、俊樹氏は贈与前後の3年半の間で、約65%を香港で生活しており、国内には26%程度しかいなかったことを認定した。

 その上で「俊樹氏は香港にいれば贈与税が課税されないことを認識していたと認められる」と、香港居住が課税回避目的だった可能性を指摘する一方、居住目的は事実上の住所を決めることに関して決定的な影響を与えないと判断した。

 判決などによると、武井元会長らは所有する武富士株を、元会長夫妻が実質支配するオランダの会社「YST」に移転。俊樹氏は11年12月、元会長夫妻からYST社の発行済み株式の約9割の贈与を受けた。

 これにより、YST社が所有していた武富士株1569万株のうち、9割に当たる時価約1650億円相当の株が俊樹氏に移動した。

 俊樹氏は贈与を申告しなかったが、国は17年3月、無申告加算税約173億円を含め計約1330億円の追徴処分を決定した。

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