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美学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ドイツの哲学者アレクサンダー・バウムガルテンが1750年に『美学』 (Aesthetica) を出版したことが、哲学の一領域として定式化される一つの契機であった。さらに正確に言えば、その最初の著作『詩についての哲学的省察』のなかで、詩の美学的価値の原理的考察を思考する学として、aestheticaなる学が予告せられていたのである。

このaestheticaなるラテン語は、ギリシア語aisthesisの形容詞aisthtikeのラテン語化であり、「感性的なるもの」という語義と、ギリシア語での慣例である学問epistemeが省略された形のラテン語化=「感性学」という語義とを持つ語であった。

バウムガルテンの諸著でも曖昧であるが、遅くとも『美学』以降明らかに後者の「感性的認識論scientia cognitionis sensitivae」の意で用いている。

しかるにバウムガルテンは「美は感性的認識の完全性である」(『美学』14節)とするのだから、感性的認識論が「美について考察する学ars pulcre cogitandi」(同1節)であり、「完全な感性的言語oratio sensitiva perfecta」=詩を典型とする芸術一般は美にかかわるから、aestheticaは「芸術理論theoria artium liberalium」(同1節)である。

すなわちバウムガルテンにおいて美や芸術に関する学的考察は感性的認識論であり、かれの体系では下位認識論として理性的認識論と比べれば「疑似理性の学ars analogi rationis」であり、「劣等認識論gnoseologia inferior」(同1節)であった。

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